「失恋」
「一番最初に報告したくて。私、結婚が決まったの!」
「えっ?」
電話越しのその一言に、体が固まる。
なんでだろう、
応援していたはずなのに・・・。
冷たい何かが頬を伝ってこぼれ落ちていく。
彼女は、私の一番の理解者だ、と云ってくれていた。
それだけで十分だと思っていたはずなのに。
同性じゃなかったら、
もし、私が男だったら、
私を選んでくれたの?
親友として対応しないといけないのに、
頭の中では
そんなバカげた考えが
ぐるぐる回って、
何も考えることができなかった。
そんな私を見かねて、彼女が声をかけてくる。
「泣いてる?」
「ぅ…、うん、……け、結婚がっ……決まったのが嬉しくて……っ!」
私は何とか言葉を絞り出して、精一杯の嘘を吐いたが、それ以上、言葉を交わすのは耐えられそうになかった。
「ご、ごめん……っ、涙がっ止まりそうにない……っ、ま、また、電話するっ……」
それだけを何とか伝えて、慌てて電話を切った。
電話を切ったとたん、私の涙腺は限界を迎えた。
一度堰を切ってしまった涙は、当分止まりそうもなかった。
今日はもう、どこまでも泣こう。
この涙が枯れたとき
彼女のことを 心から応援できますように。
6/3/2024, 6:37:52 PM