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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第七十九話」

「僕のファン、取らないで下さいよ…!」
ラピスは、カインドに攻撃を仕掛て来ました。カインドに氷水のような水流を浴びせると、
「お前のせいで、僕は志那さんに忘れ去られてしまったんだからな!」
「オイオイ、逆恨みか?」
カインドは、タジタジになりました。
「緊急事態発動!直ちに食堂に集結せよ!」
寮の館内アナウンスが流れる中、流星部隊は、いち早く駆けつけました。
「何がありました?」
ベガ達は、食堂に集まると、フロンティアウォーカー達がラピスと戦っていました。
「お巡りさん、気をつけて下さい!林檎のメンバーです!」
「林檎って、強すぎるな…6人がかりでやっとか…」
フロンティアウォーカー達は、林檎王子のメンバーであるラピスに苦戦していました。
「水技ならば、蒼魔の迷宮へ誘いましょうか?」
ピエロは闇覚醒を使い、食堂に居る人達を藍色のゴシック建築の城の中に移動させました。
「自分の繰り出す水技が、呪界の住人になって術師本人に攻撃し、呪う城です」
「フフフ、僕の闇覚醒も似たような物ですよ?」
ラピスは、
「アビスコールドルーム!」
と、唱えました。
「暗いし、寒くない?」
キトンは、突然、暗く寒くなった城内を見渡しました。
「アビスコールドルームは、海の底のような気温環境です。暗く寒い世界ですよ?」
「マズいな…って、出られへんようになってる!」
ロードは、城中の出入り口が開かない事に気付きました。

「暗くなって来たな…ラピスはどこだ?」
カインドは、姿をくらましたラピスを探し始めました。
「コイツラ、テキダ」
城に居た魔妖精達は、フロンティアウォーカー達を攻撃し出しました。
「ちょっと、多くない?」
スモークは、魔妖精の多さに目が点になっていました。
「ご安心を。私の戦闘人形で応戦すれば楽に倒せます」
ピエロは、術で戦闘人形を大量召喚して応戦しました。
「ナンダ、コイツラ…!」
「ヤッツケロ!」
「……こんだけ暗かったら、迷っちゃうんだけど…」
志那は迷っていたら、現実世界の出入り口を発見しました。
「出入り口?」
「志那、私ですわ」
梨々華が入って来ました。
「梨々華、ダメだよ!城の中に入っちゃ…」
「後からガーネットも来るから大丈夫ですわ」
「……あの犬も来るの?」
志那は、少し引きつっていました。すると、背後から男の子の声が聞こえて来ました。
「行かないで、一人は嫌だよ…」
「よく見たら、この子…ラピスに似てない?」
志那は、男の子をよく見たら、ラピスを子供にした姿に似ていました。
「あら、本当ですわね。ボク、どうなさいました?」
梨々華は、男の子に話しかけました。
「ずっと、ココに居て。僕を閉じ込めないで…」
「安心して、出口はすぐそこだから」
志那はそう言うと、男の子は姿を消しました。
「あれ?」
「まぁ、コレ…入口専用かしら?出られませんわ…」
梨々華は、自分が入って来た入口から出ようとしましたが、出られなくなりました。
「お父さん、お母さん!僕を閉じ込めないで!」
少し離れた所から、ドアを叩く男の子の声が聞こえて来ました。
「ひょっとして、あの男の子って…ラピスの子供時代じゃない?」
志那は、男の子の正体に気付きました。
「ラピスの幼い頃は、軟禁状態だったのではないでしょうか?」
一方、魔妖精と戦っているフロンティアウォーカー達は、
「ラピスは、どこ行ってん!?」
ラピスを探していました。
「キリ無いなぁ…この数」
スノーは、魔妖精を氷漬けにして行きましたが、延々と魔妖精が増えて行く為、終わりのない戦いを強いられていました。
「ククク……ハハハ!」
ピエロは、闇覚醒の使い過ぎで魔物化してしまいました。
「早く、ピエロを止めろ!」
ガバードは、電磁網をピエロに仕掛けましたが、いとも簡単に破ってしまいました。
「オイ、どうする?敵ボス2匹と戦うモンだぞ」
カインドは、ピエロを止める方法を考えました。

「まーったく、どいつもこいつも弱っちいねぇ~。弱小グループじゃ全員がかりでうちのメンバー一人に手こずってるってか?」
ガーネットが空中に出入り口の穴を開けて、城の中に入って来ました。
「ガーネット!」
「一般人の馬鹿は、どこぞの分からん幽霊に手こずってるんかよ……ハァ、情けな」
「馬鹿って失礼ね!私ならともかく、ファンの梨々華にまでそんな酷い事言うなんて!」
「ファンなんて、覚えきれない位居るから、いちいち把握仕切れねーよ…ったく」
「アイツ、ガーネットカ?イマノウチニシトメテヤルカ…」
魔妖精の親玉は、ガーネットに目を付けました。
「お前、半人前の癖にいっちょ前に闇覚醒使うから、メモリーオーバーしちまうんだぞ。ドラゴニックインフェルノ!」
ガーネットは、ピエロに攻撃して暴走を止めました。キトンは、ピエロに駆け付けました。
「ピエロ、大丈夫?」
ピエロは、元の姿に戻って気絶していました。
「ガーネット、トドメダ……!コレでスガタソンザイユガンデシマウ」
魔妖精の親玉は、ガーネットに気圧縮を仕掛けました。ガーネットは、元の人間の姿に戻りました。
「やったー!人間に戻ったー!何でか知らんけど」
「ナ、ナニ?!」
「ト・ド・メ♡」
ガーネットは、魔妖精の親玉を一撃でやっつけました。
「ガーネットは、歌い手の中では強さランキング上位一桁台。圧倒的強さだ……」
スモークは、ガーネットに圧倒されていました。

「さ、ラピス。帰るぞ」
ガーネットは、ラピスを連れて帰ろうとしました。
「ガーネット、ラピスの呪いは解けていないよ?」
キトンは、ガーネットに忠告しました。
「呪い?セラフィのか」
ガーネットの表情は変わりました。
「ガーネット、僕はセラフィが好きで忘れられません」
「あーあ、全身痣だらけってヤツ?」
ガーネットは、ラピスを睨みつけました。
「だけど、それ以上にシリウスさんが好きです」
「良い加減にしろ!!」
ガーネットは、闇覚醒してラピスに一撃喰らわせました。
「ヘルフェニックス!」
ラピスは、気絶して倒れてしまいました。アビスコールドルームは解除されました。
「やっと、出られる…」
蒼魔の迷宮も消え、元の寮の食堂に戻りました。
「さてと、ラピス。帰るぞ」
ガーネットは、気絶しているラピスを引きずって行こうとしました。
「ドリームナイト」
ガーネットの後を追っていたアメジストは、ガーネットに催眠術を掛けました。ガーネットは、眠ってしまいました。
「コレで大丈夫ですね。ラピス、起きて下さい」
アメジストは、志那達の前に現れました。
「アメジストさん!」
「……ん?アメジスト?」
ラピスは、目を覚ましました。
「ラピスに回帰光玉を渡します。コレで一般人に戻って下さい」
「…良いんですか?僕が警察官になっても…!」
ラピスは、涙目になっていました。そして、回帰光玉を使い、一般人に戻りました。
「アメジスト、ありがとうございます!」

「ベテルギウスさん、お願いがあります。僕はもう林檎王子のメンバーじゃありません。流星部隊のメンバーにして下さい!その為に今日ココに来ました!」
ラピスは、食堂にいたベテルギウスに入隊祈願をしました。
「えーと、リーダーは俺じゃなくてベガなんだよ。それに俺の色、分かってるよな?」
ベテルギウスは、少し困惑していました。
「ま、まさか……僕は、水色なりますから、ベテルギウスさんは青で……!」
「ラピス、君が青でいてくれるなら、俺は群青になるよ」
ベテルギウスの意外な返事に、ラピスは感極まりました。
「入隊OKって事で良いんですよね?!」
「ラピス、今日から我々流星部隊の一員です」
ベガは、笑顔でラピスを迎えました。

マンションに帰ったガーネットは、
「ラピスはどこだー?!」
ラピスが居ないので騒いでいました。
「ガーネットに何て説明する?」
志那達は困惑していましたが、
「ガーネットには、俺達が話して置くよ」
と、ローズを始めとする林檎王子のメンバー達がガーネットに説明すると言いました。
「今は分かってくれなくても、いつか分かってくれますよ」

4/8/2023, 10:58:38 AM