幼い君は言う。
「ずっといっしょにいようね」
キュッと小さな手が何とか僕の2つの指を握りしめる。
その言葉がふわっと吹く風と共に僕の胸に入った。
じわり、じわりとその言葉が僕に染み渡っていく。
その間、何かを求めるように手を緩めることなくじっと僕を見つめて待っている君。
「……ああ、もちろんだとも」
そう伝えると、君は顔をほころばせ、握る僕の手にすり寄った。
ああ。君はなんて愛らしいんだろう。
胸が暖かくなるとともに、チクリと胸が痛む。
太陽のようなまぶしい笑顔が、僕の後ろにある影を濃くしていく。
君は知らないのだろう。知らされていないのだろう。
僕の、僕らの両親は夫婦ではなくなってしまうこと。
2人一緒では経済的に無理だと判断が下されたこと。
会うとしても君とはかなりの距離があるということ。
(どうか、その先も君が笑って過ごす日々を送れますように)
そう祈りながら君を抱きしめ、温もりを噛みしめていた。
1/6/2025, 4:39:44 PM