同情
#枯葉
からの小説の続きです。
「あの、僕が見えているんですよね?」
妖精だと名乗るレンズ越しの青年が、澄んだ灰色の目でこちらを伺うように枝から身を乗り出してきた。木の上に登った猫でも撮影しているかのように画面がいっぱいになり、そういえばズームにしていたことを思い出して設定を戻す。
見えているというよりは写っていた。
「…幽霊じゃないんだよな?」
わずかに声が震えた、妖精なら良かったのかと現実味の無い考えに頭が痛くなってくる。息を深く吸い、吐いた息で自分を落ち着かせていく。
「自分でもよくわからないんですよね、気づいたらここにいて」
嘘は無いように思える、ただの直感だが。自分より若く見える画面の中の男は、整った顔立ちに不似合いなあどけなさを持っていて不思議な感覚になった。
「じゃあ、そこで何してんの」
「なにも、寝転んで星をみたりとか」
猫の妖怪なのだろうかと、再びよぎった考えにため息が溢(こぼ)れる。
少し落ち着いてきてきたのか視野が広がってくると、最初は気づかなかった男の服装が、やっと目に留まった。自分と同じ、病院指定の緑色の患者衣。
「ねえ」
画面の中の妖精が楽しげに、こちらへと話しかけてくる。
(きっと漫画だ)
同じ枯葉でも今度は別の既視感で、胸を締め付けるような感覚に顔が歪みそうになるのを下を向いてやり過ごした。男の肌は雪のように白くて、まるで―
「…何?」
俺はひとつ息を吐き会話の続きでもする調子で言葉を返した、ビデオ通話でもしているかのような無邪気な顔がRECの文字とともにこちらを見ていた。
(どうせすることもねぇし)
同情ともいえない哀れみに似た感情を覚えた自分に後ろめたさを感じつつ、少しの好奇心からか微かに笑みが溢(こぼ)れる。
小風に揺れる枯葉をレンズ越しに眺めながら、妖精からの次の言葉を待った。
(後書き。)
消化していきたいのでお題に無理やりねじ込んでいきます^^;
2月中に終わればいいな。
2/20/2026, 3:52:35 PM