Ryu

Open App

昔の彼女の写真とか、実は捨ててない。
後生大事に隠している訳でもないが、きっと実家の押し入れに眠ってる。
付き合い始めた頃、今の奥さんに訊いたことがある。
「捨ててほしい?」と。
彼女の答えは、「別にどっちでもいい」だった。

もし、自分の中に未練があったなら、捨てていたと思う。
それは、自分をも苦しめることになるから。
だが、自問自答の末、自分の大切な思い出として、残したいと思った。
自分が生きてきた道のりで、共に過ごした人の思い出として。

これをある時、姉貴に話したら、こっぴどく叱られた。
今の彼女が可哀想だと。
了承済みだと言っても、まったく聞く耳を持たなかった。
そんなの、嫌だって言いづらいに決まってる。
人の気持ちがまるで分かってないとまで言われた。
なるほど、俺の気持ちは分かってもらえないんだな。

結局、俺の人生なんだよな。
それを否定する人は、離れていっても仕方がない。
他人の気持ちを慮って、自分の人生の削り取らなければならない理由はあるだろうか。
俺の人生だ。
誰かのために生きていたって、俺の人生なんだ。

こんな思いはあの頃から変わらず、いつまでも捨てられないものとして、心に棲みついている。

8/17/2024, 12:43:01 PM