ふと秋の香りがした。
甘ったるく、どこか懐かしさを覚える小さな橙色の花の香り。
渡り廊下からは遠いし、廊下の窓も空いていない。
どこから香るのだろうと香りを辿って振り返れば、君の後ろ姿。
襟元に零れた小さな花。
金木犀の下で本でも読んでいたのだろうか、手に持つ分厚い本のタイトルは分からない。
今度、図書館で名前を探してみよう。
後、君が本を読んでいた金木犀の木も。
恋に落ちるのは春ばかりだと思っていたけれど、すれ違いざまに香った花に感じた予感はきっと当たるだろう
お題/すれ違い
10/20/2022, 9:59:25 AM