無人島に行くならば
「無人島に行くなら何を持っていく?」
昼休み、机に突っ伏していたCが唐突にそう投げかけてきた。意図を測りかねて黙っていると、ひとつだけね、と追加で言葉が飛んでくる。
なんなんだ。そう思いつつも考えてしまうのは聞いてきたのがCだからに他ならない。
「……ナイフ」
「それ今思いついたの適当に言ったでしょ」
「ああ」
「もー、ちゃんと考えてよ〜」
Cの反応に、この質問に意味はないのだとわかった。
ただの気まぐれ、暇つぶしなのだろう。
そんなCの暇つぶしに付き合うのはよくあることだった。だから特に考えもせず形式的に聞き返してしまった。
「そういうお前は何を持っていくんだ?」
「え、オレ? オレはー、T」
ウインクをしながらそう答えたCに、息がひとつ遅れた。
「Tくんがいれば、なんでもやってくれそうじゃん?」
冗談だ。わかっている。
それでも、喜んでしまう浅ましい心に嫌気がさす。
「…お前もちゃんと考えてないじゃないか」
なんとか口にした言葉が震えなかったことに安堵した。
俺は今、平静を装えているだろうか。
敏いコイツにこの気持ちがバレていないといい。ただそれだけを願っていた。
10/23/2025, 8:01:25 PM