ふらわー。

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通り雨。

✘‎✘‎を例える言葉で、こんなに相応しいと思ったことはない。

“通り雨”。

突然降って、すぐにやむ。

もちろん、突然振って、すぐに病む。という意味ではない。

変な勘違いをしないでくれたまえ。

...おっと、茶番が気に入らなかったようだ。

✘‎✘‎が嫌そうな顔をしていたので、茶番は置いておく。

✘‎✘‎は、『姿』が突然現れたり消えたりするわけでない。

✘‎✘‎の『存在』が現れたり消えたりするのだ。

存在が消えると、僕の✘‎✘‎への記憶も消えてしまう。

もうそろそろ時間か...。

とにかく、✘‎✘‎は不思議な力を持っている“妖精”。

それでは、さようなら。

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「...?」

今日、通り雨が降ってたのか。

僕が窓の外を眺めていると、なぜか、何か忘れているような気がしてきた。

「通り雨といえば〜?」

なんだろ。まっったく分からない。

僕はなにを忘れているのだ?

「お〜!れっ!」

「ファツゥッッッ?!」

え、え、え、

背から翼?!小人?!飛んでるッ???

「な、何者ですじゃっ!」

「...覚えてないかぁ〜」

覚えてない、...とは?!

「俺、✘‎✘‎!」

「...えっ?な、なんて???」

上手く聞き取れないのだが。

「...んーとねっ!」

妖精と仲良くなって、月日がたったある日、

僕は思い出したのだ。

……思い出してしまったぞ。

「“りと”...」

「...もう思い出しちゃったんだぁ」

辛そうにりとが笑う。

僕の中にあるりとの記憶が消える。そして、思い出すと、次の日には俺の中の記憶の、りとのが消える。そして、また思い出す。すると、次の日忘れる。

つまり、無限ループだ。

「...君って変わった子だよね、ほんと」

「そんなことないのだ!僕は正真正銘僕である!酷いぞ!」

「そーゆところ!」

明日になったら忘れるのか。

僕は泣かないように、布団を被って眠りにつく。

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「そーゆところ!...も愛おしいけどねぇ」

君は俺を忘れる。

「...また最初っからかぁ、」

君は気づいてないかもだけれど、

俺、りとは人間だ。

ただ、違うのは、君は人間ではない。

「次こそ、絶対クリアする!!!」

ゲームスタートのボタンを押す少年。

少年の家の外では、通り雨が降っている。

9/27/2024, 12:15:53 PM