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哀愁を誘う

ジョンが外のカーポートが良く見える出窓に陣取ってから1時間はゆうに経っていた。
時折聞こえてくる通行人の声に耳を傾けて、じっと、ただひたすらに去ってしまった人を待ち侘びている。
小さな子供の声が聞こえるたび、小鳥の囀りが聞こえるたび、クラクションがなるたび、はっと起き上がって尻尾を振る姿は哀愁を誘う。でも。


「ジョン、小学校が終わるまであと半日以上あるよ。」

我が家の愛犬は哀しくひと吠えした。

11/4/2024, 12:54:37 PM