霜月 朔(創作)

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あなたへの贈り物



私は、嘗て。
絶望の底にいました。
人の悪意に貶められ、
身も心も傷つき、
生きる希望さえ、
見失っていました。

そんな私に、
一筋の光を教えてくれた、
誰よりも大切な、貴方。

しかし。
貴方の瞳は、
いつも深い苦悩と絶望に、
深く染められていました。

この醜く残酷な世の中で、
生きていくには、
貴方は余りにも、
優し過ぎたのです。

大切な貴方に、
私は最後の贈り物をします。
それは冷たくも美しい、
銀色のナイフ。

哀しく微笑む貴方に、
銀色の刃が翻り、
赤色が迸ります。

貴方を、そして、私を。
朱が染めていきます。
これで、貴方は永遠に、
苦しみから、解放されるのです。

私の最期の、
貴方への贈り物。
それは、
貴方を苦しみから救う、
優しい…永遠の痛み。

1/23/2025, 9:02:13 AM