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「冬は一緒に」


君と一緒の帰り道。
君はマフラーに手袋で、完全装備。
それでも、「寒~い。手冷たい。」って、

僕は、君と手を繋ぐチャンスを待ちながら、心臓がバクバクで、心なしか顔も火照ってる。

学年が変わって、君と同じクラスになって、春·夏·秋と、君と過ごしてきた。
春はクラスメイト、夏ちょっと仲の良いクラスメイト、秋は友達以上恋人未満になれたかな?
冬はどうなるんだろう?このままかな?昇格出来るのかな?

他愛もない話をしながら、僕の頭の中はそんな事ばかり。

ふと沈黙が訪れて。
君も少し俯いて。

僕は、思い切って君と手を繋いだ。
「手袋の上からでも、少しでも暖かいだろ?」
恥ずかしくて君の顔なんか見れなくて、逆の方を見て。
恥ずかしくて甘い言葉なんか囁けなくて、ぶっきらぼうにしか言えなかった。

「アリガト……冬も一緒に過ごそうね。」

ビックリして、嬉しくて、君を見たら。
僕と同じ様に、明後日の方向を見ながら言ってた。
耳、真っ赤で、可愛い。

「だね。よろしく」僕の精一杯の、返事。
気の利いたセリフが言えない僕。
でも、心を込めて君の手を強く握った。

12/18/2024, 11:29:35 AM