へろへろくん

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不完全な僕

このお題は今日の私にピッタリだ。
母親が今日の夕方、他界した。しばらく入院していたので驚きはないが、いざ死が現実のものになると、いろいろと思いが湧いてくる。

生前、私は母とあまりしっくり行っていなかった。というか実際には私が一方的に疎んじていたのだが。
母はけっこう細かいことが気になる性格で、日頃愚痴も多かった。その愚痴を長年聞かされるうちに母に対する親密な気持ちは次第に薄れてしまった。

そんな母に対する気の持ちようは、入院してからも変わることはなかった。いや、あからさまに言ってしまえば、むしろそれを歓迎するような感情さえあった。
実に不謹慎で親不孝だと自分でも思う。

そして今日、もはや意識はなく心臓が鼓動しているだけになった母を前に、さまざまな思いが自然に湧いてきた。
やはり人の死というのは重みのあるものだ。涙はまったく出なかったが、生前の母に対して抱いたのとは逆のベクトルの感情がこみ上げてきた。

もう少し良くしてやることはできなかったのか。もう少し母とじっくり話をしてもよかったのではないか。
こんなことを今更考えてもどうしようもなく遅い、というのはわかっているが、やはり自然にそう考えている自分がいた。

そして今母は家に帰って、座敷に敷いた布団の上に横たわっている。
病院で清拭などしていただいたおかげで、安らかな死顔だ。今にも目が開いたり唇が動いたりしそうだ。

月並みだが「お疲れ様、安らかに」と、素直に思う。
そして、自分はいい息子ではなかった、とも思う。
せめて今のこの感情を、忘れることはしないでおくことにしよう。

8/31/2023, 3:05:57 PM