「見知らぬ街」
この曲がり角で貴方に会えたなら。
見知らぬ街で目を覚ました。
ここはどこなのだろうか。
空は青く広い。
自分を縛るものはひとつもなく。
ただ自由な街が広がっている。
(この街に貴方がいたなら)
頭のなかで広がった思考。
私はなにも分からない。
「貴方」が誰なのか分からない。
でも会いたく思う。
(この世界ならまだ。)
こんな考えが広がる。
この世界ならまだ。何がだろうか。
(貴方はまだ。)
だから何なのだろうか。
貴方はだれ?
誰か分からない「貴方」をなぜか無意識に探してしまう
チラッと何かが横目に写ったような気がする。
そう思った頃にはもう走り出していた。
きっとこの曲がり角に彼はいる。
そう思った。
ようやく曲がり角を曲がった。
だれもいなかった。
なんで?確かにいた。そんな気がするのに。
なんだろう。
目が痛い。鼻もツーンとする。
目があつい。
なんで涙が零れてきたんだろう。
なんで?
彼はもしかしていないのかもしれない。
どんな人かもしらないがそれだけはなんとなく分かってしまう。
ここにいないなら何処にいるというの。
早く彼に会いたい。
走って走って探した。
私は足がもつれて転んでしまった。
痛い。そう思うはずなのに痛いと思わなかった。
なんでだろう。もしかして私はいま夢を見ているのかもしれない。
突然頭がいたくなった。
キーンとして何かが思い出せそうな気がした。
でも私はそこで意識を失った。
次私が目を覚ましたのは懐かしい香りのする布団のなか。
全て思い出した。
彼は、「貴方」はもうこの世界にはいないんだった。
先に逝ってしまったのだった。
私の目から涙が零れてもこの世界が終わることはきっとない。歩き続けるしか無いのだろう。
8/25/2025, 8:52:35 AM