ほむら

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俺の運命の人は、突然に現れた。彼女は、とても優しくて、可愛らしい人だった。

俺が幼い頃、迷子になってしまって一人で大泣きしてしまった。お腹も空いた、疲れて歩けない、どうしようもない俺に彼女が声をかけてくれた。

「どうしたの?迷子?」

聞かれてもぐすぐす泣いて答えもしなかった俺に、優しく手を差し伸べてくれた。お腹空いてない?と聞いてきた時には既に彼女の手に持っていたであろうお菓子が握られていて、なんと俺に分けてくれた。その後両親と会えたのだが、それまで彼女は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたのだ。幼いゆえに知らなかっただけで、この時の感情が一目惚れというものだったのだろう。

そして時が経ち、大きくなった俺はある日、街中で見覚えのある人影を見かけた。それは見紛うことなき俺の初恋の人だった。

「あのっ、すみません」
「あなたは…?」
「昔、あなたに助けられたものです」

いきなりこんなことを言われて、彼女も戸惑った表情をしていたが、すぐに納得した表情になった。どうやら俺の事を覚えてくれていたらしい。

「あぁ、あの時の!かっこよくなったね」
「あの時はありがとうございました。もしよければ…」

それから俺たちは連絡を取るようになり、たまに会うようになった。そして付き合いが長くなった頃、俺は彼女に告白した。何の因果か、その日は俺が迷子になった日と同じだった。

テーマ「初恋の日」

5/7/2024, 11:13:45 AM