三日月
澄んで冷えた夜の中、コンビニからの帰り道、小さな袋をカサカサと揺らしながら歩いていた。
「あ、」
ふと目に入った細い月に、思ったよりも声が漏れた。
「なに?忘れもの?」
「ちがうちがう、見て」
「⋯?空がどうしたの?」
「ずいぶんと細い月だなぁと思ってさ」
思わず声が出ちゃった、と首を傾げてみせると、「もう、びっくりさせないで」と呆れたように返されてしまった。
普段ならなんの気にもとめない。
満月ならまだしも、満ち欠けですらない、半月でもない三日月なんて見ようとも思わない。
数日前に見た丸い月が、少しずつ消えて、また再び生まれてきた。また少しずつ満ちて丸になる。
「満月ばかり見てきたけど、なんだか三日月のほうがオシャレかも」
「そうだね、さっき買ったおつまみ菓子みたいな形だしね」
「⋯うーん、あんまりオシャレじゃない」
「え、」
なんていうのが正解なんだろうなぁ、と再び空を見あげた。
自分にはあまり感性がないのかもしれないなぁ、と思いつつ"三日月がオシャレ"はなんとなくわかる気がした。
1/10/2026, 4:44:18 AM