"夜空を越えて"
毛布を肩にかけて、ホットミルクを片手にベランダに出る。
すでに日を跨いで2時間が経っていた、先ほどまでの煌めいた賑やかな風景はいずこ、静まり返っていた。
いつもならとっくに寝ている時間だけど、今日だけは起きていたかった。
中秋の名月、一年で最も綺麗に見える月。
こんな真夜中に見るものでも無いけど
なんとなく、誰もいないところでこの月を独り占めしたかった。
手を温めているミルクを飲んでほっと息をつく。
夜空で一等輝いてこちらを見つめる月に見惚れて、いつの間にか、ベランダの柵に立っていた。
室外機の上に毛布とコップが置かれている。
誘われてしまった。断る理由も恐怖もなかった
私は月に向かって空へ飛び込んだ。
12/11/2025, 10:31:24 AM