#きっと明日も
今日は雲一つ無い晴天。
そんな空模様にそぐわず、遥香は浮かない表情をしていた。
「はぁ……」
「はーるか。」
「わっ……華か。」
「今日は晴れだよ? なんで空見てため息ついてるのさ。」
なんで?
華だってわかるでしょう?
明日は部活の大事な試合がある。
先週の予報では明日が晴れで明後日が雨だったのに、今日の朝見てきたら変わっていて明日が傘マークだった。
これで勝ち抜かないと、もう一つ上の大会に行くことができない。
延期になった日は行事と被っていて参加できない。
先輩方はそのまま引退。
同じ部活に入っている華は、そんなことわかっているはずなのに。
「わかるでしょう? 明日は試合だよ?」
「そうだね。自信無いの?」
「違うよ。天気。明日が雨予報に変わったんだよ? 中止になったらどうしよう。」
「なに、そんなこと……じゃあさ。」
これ作ろう!と言って見せられたメモには、雑なてるてるぼうずの絵が描かれていた。
「これで全部解決でしょ?」
「そんなの気休めでしかないでしょう? 意味無いでしょ、それ。」
「そんなことないって。『明日雨降ったら』って不安がってるより、『きっと明日は晴れる』って自信もって練習したほうが断然いいじゃん。」
「……まぁ。」
「ね? 気休めかもだけどさ、それでいいんだよ。」
「……うん。ふは、そうだね。」
「じゃあ練習後うち来てよ! 一緒につくろう!」
「おっけ! 約束ね。」
明日の空は雨模様かもしれないけれど、華がいるから、私の心はきっと明日も晴れだ。
9/30/2024, 11:34:06 AM