人間にはまだ出会ったことがない。いつも僕はフードを被り誰にも気付かれないようにひっそりと暮らしている。
黒くて短い髪も小柄だが決して華奢ではないこの体も
誰にも見られてはいけないのだ
この世界は獣人のための世界なのだから…
★この世界は
いつも通りフードを被りメイン通りを外れた裏道を歩いていた。裏道と言っても人通りは多くいつもは食材を買ってすぐに帰る道だ
その時、後ろからいきなり手首を掴まれた!と思ったらそのまま後ろに引っ張られ僕より頭ひとつ分大きい人に寄りかかってしまう
「え…?」
と驚きつつも顔を上げるとそこには耳を立たせ鋭い目つきで僕を見下ろす狼の獣人がいた
怖くて何も言えずにいると
「なぜお前には分からない」
「……え、何がですか?」
「この警告音は雷嵐がくる。先ほどからそれぞれの種族に分かるように音や匂いで警告が出ている。他の者はすでに対策をしている」
何のことを言っているのかさっぱりわからなかった
音も匂いもいつもと何も変わったところはない
周りを見てみると確かにみんな建物の中にいたり帰りを急ぐ人もいる
フードを被って人にぶつからない事だけを考えながら歩いていたから全く気付かなかった
1/16/2023, 8:03:02 AM