お願いだ。 私を全て消し去って、この世から消してくれ。激しく降り続く強い雨の音が私の存在を隠す。深いため息を吐いて視線を上げ、また俯き歩き出した。 「私」が嫌になる。私だからなんでもできて、私だから何にもできない。自分に囚われた醜い私。 また一つため息を吐き、ゆっくりと瞼をあけた。サーッと雨音がして周りの音がよく聞こえる。傘にあたる雨音なんてしない。ずっとずっと私を包んで歩く柔らかい雨が生暖かくて嫌になる。「柔らかい雨」
11/6/2024, 1:46:08 PM