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私の人生はその人1人の為にあった。
いつも優先するのは彼女のライブ配信とラジオ。
彼女の声を聞いて、側に存在を感じることが何よりの幸せだった。
彼女をこの目で見る為に社会人という仮面も被って。
私のその頑張りは、ランキングチャートに乗る彼女の名前に現れていた。
嬉しい。私は彼女というアイドルの一部なのだと感じられた。
だからネットのニュースを見た時思考が止まった。
フェイクニュースだと思って色んなニュースアカウントを見た。
彼女だけの人生を歩んできた私に1つだけの通知。
これだけ彼女に捧げてきた自分は、彼女と繋がっていると感じていた。
でも私と貴方との繋がりは、ただこのofficial accountの1つだけだったのだ。
一方的なお知らせと、妙に噛み合わない返信。
彼女は私の名前も顔も知らない。
私は彼女の本名も歌声も、人生をも知っているのに。
私は彼女のアイドルという人生に同乗しただけの、唯の一般人なのだ。
立派なのもすごいのも、血の滲むような努力をして掴み取った夢も彼女だけのもの。
私のものじゃない事に気付くなんて今更だ。
でも私には彼女しかなかったから、だからこのトークを開いたら私が終わってしまうと思った。絶望の色。
私はまだ、最後の通知に既読をつけることが出来ない。

9/1/2024, 3:37:53 PM