シン

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【隠された手紙】
今日もお爺さんの本棚から本を取って読む
お爺ちゃんが亡くなってから
ずっと続けている僕の日課だ
こうしていれば、お爺さんが側にいる様な気がして
心が少し落ち着くんだ

本を読み終え、新しい本に手をかける
カサリ…
本と一緒に何かが落ちた
『なんだろう?』
音のする方に目を向けると足元に紙が落ちていた
紙を開いて見るとそこには
地図の様なものが書かれていた
『これ、お爺さんの宝探しの地図だ!』
両親が忙しい時はいつもお爺さんの家に行って
お爺さんと宝探しをして遊んでもらっていた
だからこそ、僕にはそれが
お爺さんの宝探しの地図だとすぐに分かった

さっそく、宝探しをしてみることにした
地図には色々な場所が記されていた
お爺さんの書斎
戸棚の中
ベッドの下
全て、お爺さんとの思い出の場所だ

そして、目印の場所で古そうな木箱を見つけた
さっそく開けてみることにした
しかし、古そうな木箱の中は空っぽだった
『なんだ、何もないのか、つまんない』
そう言って、僕は木箱を放り投げた
カタンッ…
小さく何かが外れた様な音がした
木箱をよく見ると底が少し外れていて
中に何かを入れられそうなスペースがあった
木箱の底を外して見ると中には手紙が隠されていた

“おめでとう、最後まで楽しんでくれたかな?
 本当はお前さんともっと一緒に遊びたかったが
 ワシももう体にガタが来ていてね
 だから、これが最後の宝探しだ
 宝物は今までの時間と思い出だ
 こんなことでしかお前さんに伝えられない様な
   ワシに最後まで付き合ってくれてありがとう”

『お爺さん…
 僕も、お爺さんとの宝探し
         毎回、楽しみにしていたんだ
     僕こそ、ありがとう…そして、さよなら』

一筋の涙が僕の頬を伝った

2/2/2025, 2:01:41 PM