24

Open App

▶111.「ひそかな想い」
110.「あなたは誰」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
---
〜人形たちの知らない物語〜

局長を探していたために時間はかかったが、
____はノンバレッタ平原に着いた。
ここでサボウム国の仲間と落ち合うつもりであった。

サボウム国からだけでなく、
フランタ国に潜入していた仲間も来て、三方で情報交換を行う予定だった。

春が近づき、戦場の跡を草花が隠し始めている。
数年もすれば、ここで何があったかなど、
予め知っていなければ見ても分からなくなるだろう。

____はしばらく仲間を探して歩き回ったが、
時間が経ちすぎていたためか、誰もいなかった。

ため息ひとつ、____は再び歩き始めた。
このまま南下していけば、サボウム国に入れる。

行きと違い、馬車も無くたった1人。
人と会うのは、立ち寄った村で労働をして食事を分けてもらう時くらいだ。

ひたすら、ひたすら、歩いていく。

心の中では繰り返し、盗み見たメカの構造を思い出していた。

技術局で研究していた最先端技術を惜しみなくつぎ込んだ傑作だ。


すごいな。

いいな。

自分も、作ってみたい。


消えぬ技術者としての魂が、____の命と希望を繋いでいる。

サボウム国の技術を入れたら、
もっと素晴らしいものができるかもしれない。

それに、私の人形づくりだって……

前例も根拠もない、夢想に近い構想を、
ひそかな想いとして描きながら、

一歩、また一歩と踏みしめていった。

2/21/2025, 9:43:03 AM