烏羽美空朗

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高校生の頃、何故だか俺はボロボロの階段を上り、屋上へ向かうシチュエーションを狂ったように多用していた。

時に空に飛び立ち、時に花火の中で幼馴染との心中。おかしな少年に突き落とされる疲れたサラリーマン。

どうやら俺は、屋上からの飛び降りに憧れを持っていたらしい。
それは、決して自殺願望ではなく、落ちていく間の逆さまになった景色を想像するのが楽しかったからだ。

ビル群の星空、軽い足に重い頭、加速していく世界に、近づいてくる地面。
特に、きらきらと輝くビル群の星空は想像するだけで気分が高まったものだ。

……今夜の星空があまりにも綺麗だったもので、カーテンを全開にしてベッドに寝転がり、ふと昔のことを思い出していた。

人工の光ではない。本物の星々は、俺が眠りに落ちていくのを見守ってくれている。

落ちていく

11/23/2022, 12:35:36 PM