NoName#s81

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それは手紙ではなかった。
宛名はなかった。ただ、多分あなたなら気づくだろうというところに、その文章を置いた。あなたなら分かるだろうという内容を書いた。どうしても押し付けがましいような気がしてしまって、メンションできなかったし、宛名は書けなかった。それでも、それを公開しないという選択肢も取れなかった。中途半端に、その文章を放り出した。それは手紙ではなかった。
読んでくれたらしい、とは、通知から窺い知ることができた。

いつも苦しみを綴るあなたに、わたしの言葉がどう届くのか。苦しむ人に、苦しむなと言うなどと、あまりにも無責任なことに思えた。だから、そうとは書かなかった。言葉を選び、選んで、出来上がった文章は、それでもやっぱり、わたしの気持ちの押し付けにしかならなかった。

あなたに、やさしい日記を書けるくらいの、やさしい一日がありますように。
そうでないならせめて、書くことがあなたを生かしますように。

そんな押し付けを、直接渡す勇気がなかった。

そんなわたしに、あなたは直接話がしたいと言ってくれた。
わたしの文章を読んで、死ぬのをやめたのだと言った。

手紙ではなかったそれが、それでも届いたのだなと思った。今なら、手紙と呼んでいいのかもしれない。

#手紙の行方

2/19/2025, 2:58:47 AM