それは手紙ではなかった。
宛名はなかった。ただ、多分あなたなら気づくだろうというところに、その文章を置いた。あなたなら分かるだろうという内容を書いた。どうしても押し付けがましいような気がしてしまって、メンションできなかったし、宛名は書けなかった。それでも、それを公開しないという選択肢も取れなかった。中途半端に、その文章を放り出した。それは手紙ではなかった。
読んでくれたらしい、とは、通知から窺い知ることができた。
いつも苦しみを綴るあなたに、わたしの言葉がどう届くのか。苦しむ人に、苦しむなと言うなどと、あまりにも無責任なことに思えた。だから、そうとは書かなかった。言葉を選び、選んで、出来上がった文章は、それでもやっぱり、わたしの気持ちの押し付けにしかならなかった。
あなたに、やさしい日記を書けるくらいの、やさしい一日がありますように。
そうでないならせめて、書くことがあなたを生かしますように。
そんな押し付けを、直接渡す勇気がなかった。
そんなわたしに、あなたは直接話がしたいと言ってくれた。
わたしの文章を読んで、死ぬのをやめたのだと言った。
手紙ではなかったそれが、それでも届いたのだなと思った。今なら、手紙と呼んでいいのかもしれない。
#手紙の行方
2/19/2025, 2:58:47 AM