七瀬弥生

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どんよりと曇った空。
たまに吹く木枯らしがすぐ側で枯れ葉をくるくる回す。
冬だ。

ほぅと吐く息は真っ白で、鼻は真っ赤に冷たくなっている。
寒い。
つい、と視線を空にやった。
ねずみ色の雲が静かに蠢いている。
ほぅ、とまた息を吐いた。

私はこの雲を知っている。
毎年この時期になると空を覆う分厚い雲。
もうほんの少し寒くなれば空からちらちらと埃みたいな雪が落ちてくるのだ。
そうすればなんとなくこの寒さが和らぐ気がした。

早く落ちてこい。
早く、ここに。

12/15/2023, 10:42:32 AM