Day.5_『時計の針が重なって』
午前0時、日が変わった。私が産まれた日だ。
「……実感、無いな」
いつからだろう、誕生日を迎えても何も感じなくなったのは。
いつからだろう、自分の誕生日の日を忘れるようになったのは。
いつからだろう、いつからだろう、いつからだろう……
「子どもの時は、嬉しさがあったんだけどな……」
そう、ひとり寂しく呟く。
今でも、家族から祝われ、友人から祝われる。それはとても嬉しいし、ありがたかった。心の底から、そう想っている。こんな私の誕生日を覚えていてくれて、祝ってくれる。こんなに嬉しいことはない。
だけど……私の心の中では、なぜか、ぽっかりと穴が空いている。それは、言いようの無い感覚で、輪郭がなく、ぼんやりとしていた。
「……何事もなく、一日が終えれれば、それでいいか」
そう呟き、私は布団に潜るのだった。
9/24/2025, 12:21:58 PM