ベンチに座り、スマホを耳に当てている愛しい君。
時折、風で長い黒髪がなびいて美しい。
でも、一体誰と喋っているのだろうか?
まさか……彼氏か?
いや、そんなはずはない。
一ヶ月ほど彼女を見ているが、男を連れて歩いている姿は見なかった。
多分、女友達とかだろう。
彼女を観察していると、肩をトントンと叩かれる。
「ちょっと、いいですか?」
振り返ると、警察官が立っていた。
「遠くから双眼鏡でずっと見られていると通報がありまして。あなたですね?」
「えっ、あっ、えっと……こ、これは恋であり、愛です」
「交番で詳しい話を聞きましょうか」
「そ、そんな……遠くから彼女を愛してただけなのに」
双眼鏡で再び彼女を見ると、彼女はこっちに向かって中指を立てていた。
9/3/2025, 10:18:21 PM