海月 時

Open App

「好きだよ。」
僕達は、お互いを見つめながら言った。あの時はただ、この幸せが続く事を願っていた。

「付き合ってください。」
彼女への告白。彼女とは、高校に入ってから知り合った。それから、僕達はすぐに仲良くなった。気付いた時には僕は、彼女の活発さに恋をした。そして今、僕の思いを彼女に告げた。振られても良い、関係が崩れても良い、思いを告げれずに恋が終わるなんて嫌だ。彼女を見る。彼女は、戸惑った表情を見せたが、すぐに笑顔になった。
「ありがとう。私も好き。」
彼女の言葉を聞き、嬉しさが込み上がってくる。僕達は、抱き合いながら嬉し泣きをした。恋人として、これからどこに行こうか、何をしようか、たくさん話した。いつまでも幸せは続くと思っていた。

彼女が事故に遭い、意識を彷徨っている。突然呼ばれた病院で、告げられた言葉。信じられなかった。しかし、ベットで寝ている彼女を見て、現実だと分からされる。僕は、泣き叫んだ。それでも、彼女は目を覚まさない。このまま、彼女が目を覚まさなかったらと、不安が募る。嫌だ。消えないで。側に居て。叶うかも分からない言葉を囁き続けた。

ある時、彼女の親から連絡が来た。見せたいものがあると言う。僕はすぐに彼女の家へと向かった。家に着いた。玄関の前には、彼女の母親が立っていた。そして、母親のは、僕にスマホを見せた。これは、彼女のものだ。スマホの日記には、こう記されていた。
〈ずっと一緒に居たい。けれども、叶わない。終わりは、必ず来るから。それでも、私はまた明日と言ってしまう〉
まだ途中かけなのだろう。短い文章。しかし、一文字に思いが込められていた。僕は、静かに涙を流した。

未だに彼女の意識は戻らない。何度も、現実から逃げたかった。それでも、彼女の言葉が僕たちの思いを蘇らせる。僕は今日も、彼女が目覚める明日を期待してしまう。

5/22/2024, 3:09:22 PM