かたいなか

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「お題の連想ゲームは、結構心がけてるわ」
人生ぶっちゃけ後悔の連続だと思うがどうでしょう。某所在住物書きはコンビニでついつい購入してしまったグミのパッケージを開けながら、呟いた。
「『後悔』、だろう。後悔『する』のか『しない』のか、そもそも『何に対する』後悔か。
『後悔』が花言葉の花は複数あるが、その中のカンパニュラ、後悔の他に『抱負』や『誠実』なんて花言葉もあるぞ?――って具合に」
オマケの剣ピック目当てに、ありゃまたダブり、こりゃまた目当て以外。なかなか思う結果は訪れぬ。
「……ガチャは得てして『後悔』多しよな」
なんでこんなに金の退魔剣ピック出ないんだろう。
物書きはうなだれ、ちびちびとグミを食べる。

――――――

「後悔」。今日も今日とて、手強いやら難しいやらなお題ですね。こんなおはなしはどうでしょう。
最近最近の都内某所、某アパートの一室に、人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者が住んでおり、
その部屋には週1〜2回、不思議な二足歩行の子狐が、不思議なお餅を売りに来るのでした。
現実感ガン無視とか、細かいことは気にしません。
大抵童話でキツネは喋るし、なんなら「ごんぎつね」や「手袋を買いに」なんて前例もあるのです。
気にしない、気にしない。「そういうおはなし」だと諦めましょう。――さて。

「これが、狐の執着か……」
今日の捻くれ者の部屋は、たいそう賑やかでした。
捻くれ者はため息ついて突っ立って、首筋をカリリ。視線の先では例の子狐が、狐の本能と食欲に従い、タケノコとワラビとお揚げさんをもっしゃもっしゃ。
タケノコとワラビは、捻くれ者の両親が、遠く離れた雪国の田舎から速達で送ってきた大容量。
捻くれ者ひとりでは到底食べきれぬ、田舎サイズに田舎クオンティティーです。
おまけにタケノコはずんぐり孟宗竹ではなく、すらりと長い根曲がり竹、その天然物。キロ単価3千5千オーバーがどっさりで、さぁハウマッチ。

そういえば狐がタケノコを食う映像を観たな。
いつも通り餅を買って、商品を受け取りお金を払った後、ふと閃いた、その後の行動が悪手だった。
『人間の食べ物だが、食ってみるか?』
子狐に田舎から届いたタケノコを見せると、子狐コンコン、途端に鋭いおめめとおはなでクンカクンカ香りを嗅ぎ、タケノコをぱくり!
味を覚えた子狐は、匂いを辿って大きい段ボールを見つけ出し、ひとり大宴会を始めてしまいました。

「子狐、あの、そのへんにしておけ」
「ダメ!さわらないで!ダメッ!!」
ギャン!ギャン!
捻くれ者が近づくと、コンコン子狐、食べ物を取られまいと大声で威嚇して、噛みつこうとしてきます。
その全力の声量の、大きいこと、大きいこと。
防音の部屋で良かった。捻くれ者は思います。
無駄に本能を煽ったか。捻くれ者は後悔します。
自業自得、自分が撒いた種、致し方無し。子狐に悪いことをしてしまったと、捻くれ者は反省しました。

結局田舎クオンティティーのタケノコとワラビは、半分以上が子狐のおなかの中。
後日母狐が子狐を連れて、丁寧な丁寧なお詫びをしに来ましたが、子狐が食べてしまったタケノコとワラビとお揚げさんの弁償に母狐が渡した金額は、諭吉さん2枚と、野口さん4枚だったそうな。
多分めでたし、めでたし。

5/15/2023, 2:50:35 PM