『怖がり』
進学のために、この街にやってきたA太はとても怖がりだ。
後ろから声かけると、「うわっ」と叫ぶ。
授業中、スマホの振動に、「うわっ」
アパートに遊びに行き、インタホン鳴らすと中から、「うわっ」と叫び声が聞こえる。
「A太は、本当に怖がりだな。ていうか、ビビり」
「まあ、うん、苦手なんよね。小学校のとき、林間学習の肝試しで、マジで気を失ったことがあるんよね」
A太は何かと理由をつけ、俺をアパートに呼びたがる。
一人で過ごすのが怖いそうだ。
「なんか、一人だと誰かに見られてたり、変な声が聞こえる気がするんよ。一人暮らしなんかするんじゃなかった」
「・・・・・・」
じゃあ、あの部屋の隅で体操座りをして、不自然な角度に首を曲げ、目の落ち窪んだ痩せた男はーー
A太には見えていないんだな。
3/16/2026, 1:26:00 PM