急に寒くなった。今日は何を着て行こう。とりあえずヒートテックを仕込んで、いつものセーターを着る。足元は、そろそろブーツを出そうか。ああ、箱から出すのは面倒だ。そうこうしているうちに出かける時間が迫ってきた。薄いコートをひっぱり出してはおる。
友人に会うと、薄手のダウンを着ていた。「すぐ、季節が変わるからもう何を着ていいかわからなくて」。「私も前はそうだったけど、今は簡単よ。ちょっと涼しくなったら、Tシャツにセーター、もっと寒くなってきたら、薄手のこのダウンを羽織るだけ。後は首元にマフラーを巻いたりしたら色々対応できるの」。そういえば、友人はクローゼットを整理して、服を減らしたと言っていた。厳選されたそれらは、よく似合っていた。「飽きたりしない?」。「それが、以外とそんなことなくて。何よりラク」。さっぱりとした顔で笑う。
自分のごちゃごちゃのクローゼットを思った。これまで何度か服をひっぱり出して、整理しようとしてみた。でも、なかなか処分することができず、また戻してしまう。結局、いつも同じ服ばかり着ているというのに。
いや、クローゼットだけではない。自分の頭の中もそんな感じなのだ。今だに何かわからない焦燥感にかられて、自分を生きていない気がする。
友人は楽しそうに、今取り組んでいることを話している。確かに、最近生き生きして見える。「私も整理してみようかな」。「手伝う?」。「いいよ。あれ見られるの恥ずかしい」。「以外と他人の目があるほうがいいのよ」。友人がわざと怖い顔をする。その顔がおかしくて、吹き出してしまった。二人で笑っていると、少し心が軽くなる気がした。
「冬へ」
11/18/2025, 6:34:00 AM