saku

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空(くう)から生まれたひとつの星
星は産声をあげる
大雨、突風、竜巻、雷鳴。とにかく大荒れに荒れ狂う
まるで生まれたばかりの赤ちゃんが
「今ここに生まれたよう!」
って精一杯の泣き声で、
その存在を世界に宣言してるみたい

それから何億年かの月日が流れ、
星の大気は海と空と陸とに分かれ始める
まだ誰も、何もいない
ただひたすらに大地が広がっている
ふとそこに風が吹いた
最初の風
静かな

…あれ?このイメージ、知ってる。
どこかのライブハウスで聴いたのか、
テレビかなにかで目にしたのか。
アンコールのそのまた後の、誰かの急なリクエストに、さらっと応えて歌ってた
めちゃくちゃかっこよくて痺れたのと
その歌を聴いて浮かんでくる風景が
あまりに懐かしかったこと
誰も見たことないはずなのに
誰もがみんな知っている
遠い遠い昔の風景

ギターの音、
組んだ足、
強くてものすごく温かい声、
ゴロワーズを吸ったことがあるかい?
ただ風が吹いてた
優しく

思い出すのをためらったり、
急に怖くなり途中でシャッター降ろしたり、
そんなん全部やめたんだった。
知らないはずなのに思い出せるということは、
それはやっぱり知ってるってことなんだ
私は思い出す
ただ風が吹いていたあの風景

♪なんにもない なんにもない
まったくなんにもない
生まれた生まれた なにが生まれた
星がひとつ 暗い宇宙に 生まれた
星には夜があり そして朝が訪れた
なんにもない大地に ただ風が吹いてた

(「やつらの足音のバラード」より)





9/16/2023, 7:31:01 PM