犀川

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《待ってて》

友達と恋バナする時は、いつも聞く専。
「いいな、みんな楽しそうで」と、心にもないことを思う。
同性が好きなんだと言って引かれるのが怖くて、
ずっと、自分を偽って笑う練習ばかりしてきた。
「早く彼氏作りなよ」「子供は絶対作りなね」
悪気のない親の言葉が、何度も私を刺す。
それはあんたの意見だろ。
飲み込んだ言葉の分だけ、気分が悪くなった。
情けなくて、単純で、嘘つきな私。
「元カノが忘れられない」
そんな勝手な理由で私を切り捨てたあの子。
「なんで私じゃダメなんだよ……」
溢れる涙も、憎しみも、全部抱えたまま。
ただ、私らしさを誰かに認めてほしかった。
深夜。すべてが嫌になって外へ飛び出す。
押し付けられた「普通」を、耳を壊すほどの爆音でかき消して。
鏡の前で、少しずつ変わり始めた自分の身体を見つめる。
重い鉄塊を持ち上げるたびに、「やるしかない」と心臓が跳ねる。
世界なんて救えない。誰かを守る余裕もない。
ただ、深夜の爆音の中だけは、私は私を救うヒーローだ。
私と同じように、偽物の笑顔で息が詰まりそうな君へ。
大丈夫。君は、ひとりじゃない。
この夜のどこかで、私も一緒に戦ってる。
財布の隅には、期限切れの「大吉」。
私のことを本気で愛してくれる人に会えたら、その時、私はこれを捨てるよ。
誰もいない静かで、綺麗な海辺。
嘘のない私で笑える場所へ辿り着くために、私は今日を完走する。
だから、いつか出会うあなた。
そこで待ってて。

2/14/2026, 7:17:32 AM