海月 時

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『ようこそ、生人図書館へ。何をお求めかい?』
「私は、死んだらどうなるのでしょうか。」
『知らねーよ。宗教に興味ねーし。」
「貴方の話は、噂で聞きました。未来が記された本を守護する者、ですよね?」
『そう、だったら?』
「私の、死後は分かりませんか?」
『分からねーよ。未来ってもんはな、不確かなんだよ。ペラペラと無責任に話せるもんじゃない。』
「意外と真面目なんですね。…それなら、少しばかり私の話を聞いてくださいませんか?」
『仕方ねーな。話せよ。』
「私には、仲の良い友達が二人居たんです。二人とも、優秀な人でした。私はそれが、妬ましかったんです。だから、突き放したんです。彼女達を、電車が通る瞬間に。」
『人間誰しも、他者の幸福を怖がらない奴は居ない。』
「醜いですね、人間って。」
『…お前は、確実に地獄に堕ちる。』
「今更、何の恐怖も無いです。ですが、醜いまま死ぬのは嫌なんです。」
『じゃあ、仲間を作れ。』
「友達に劣等感を抱くような私が?」
『仲間と友達を別物だ。友達は心からの絆で結ばれている。でもな、仲間は利用の関係にある。』
「というと?」 
『真人間になるために、仲間を利用しろって事だよ。』
「それもそうですね。」
『あぁ、そうだ。誰も真っ当な奴が、人殺しだと思わねーしな。』
「何だか、楽になった気がします。」
『そうかい。それは良かった。』
「また、来てもいいですか?」
『きっと、そん時はお前が死んだ時だろうよ。』

『お前には、仲間は居るか?その仲間とは、どんな利害でつるんでる?短い人生だ。時間は有限に使おうや。』

12/10/2024, 2:13:54 PM