彼女と付き合い五年。
お互い良い年だしそろそろ結婚…となった時だった。
彼女の病が見つかったのは。
現時点で治療法が見つからない難病で、できるのは
延命治療のみという絶望を医者に知らされた。
彼女は何も言わず俯いたままだった。
そこから私は彼女にプロポーズをした。
彼女は、
「長くは生きられないけれどいいの?」
と泣きながら言った。
「それでもいい。最後まで一緒にいよう」
そう言うとプロポーズを受け入れてくれた彼女。
急いで私は両家の顔合わせと式場の用意をし、
大きな結婚式を挙げた。
彼女の身体が動く限り色々な景色を見せたが、そんな
生活は一年で終わった。
想定していたよりも早く病が進行したのだ。
彼女は入院し、薬の影響で長い髪も抜けた。
「いい人を見つけて幸せになってね」
そう言って彼女は亡くなった。
そこから何年経っただろうか。
60を迎えた今でも私は再婚などしていない。
彼女の最期の望みは叶えてあげられなかったが、
あの日…結婚式で誓ったのだ。
永遠に彼女を愛すると。
11/1/2024, 11:25:08 AM