【麦わら帽子】
麦わら帽子を被った子供が
熱い空気をかきわけて走って行く。
子供が羨ましい。
オレは子供らしい『子供』でいられなかった。
オレは人の認識の仕方が少し違っていた。
「家でオレをお世話してくれる
大人の女性が『母さん』」
「保育園でオレをお世話してくれる
大人の人が『先生』」
「家以外での子供は『友達』」
そんなオレは3歳の頃から世間の厳しさを知らされた。
「自分以外、『母さん』も『他人』と考えること」
「子供の『恋愛』は『恋愛』じゃない」
「先生は『親』じゃない」
「『大人』と『子供』は違う」
「自分が『好き』でも相手は『嫌い』」
中でも今でも納得いかないのがある。
「 友達と一緒に行動する」だ。
今までずっと人に避けられ、1人にされていたが
それが身に慣れてたのか自分でやることを見つけ、
1人でいることが楽しかった。
だがいざ『組む』となると億劫になるのだ。
会話も性格も噛み合わないので好まなかった。
おかげで家に帰ったら遊びに行くことも無く
ずっとテレビを見ていた。
ときには家にいとこが遊びに来たりしたが
パソコンで好きなゲームの動画を見てばかりだった。
そして成人して 旦那も出来きた今、
買い物に行く時、自転車で彼の背中に捕まりながら
太陽に照らされた入道雲を見つめて
ふと幼い頃の夏を思い出す。
8/12/2023, 7:21:46 AM