ストック1

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「星が呼んでる」

突然、槙野がそんなことを言い出した
公園のベンチから立ち上がって、早歩きで立ち去ろうとする
おいおい、まだゲームの途中だろ?
俺の銀髪英雄とお前の赤い配管工でこれから対戦しようって時にどうした?

「星が呼んでるんだ」

槙野は俺のことは気にならないようで、何かに取り憑かれたように歩を進める
ちょっと待ってくれ
今日は俺と一日ゲーム三昧じゃなかったのかよ
これの対戦が済んだら俺の家に行って、育てたモンスターたちで3番勝負だろ?

「ごめん
約束、破ることになるけど、本当に悪い
星に呼ばれてる
俺は行かないといけない」

槙野はこちらに顔も向けず、立ち止まろうとすらしない
いやいや、なんかすごく嫌な予感がするぞ
ただ、止めたいけど、止めることはできなさそうだ
結局俺は、槙野を見送ることしかできなかった
悪いことが起きなければいいが

俺の心配は的中した
その日の夜、槙野から連絡が来た

「聞いてくれ、友よ
あのあと、幼馴染の星に告白された!
すごい嬉しいよ!」

なるほど、星に告白されたか
まあ、告白だろうと思ったからお前は俺を放って星のもとへ向かったんだな
たぶん、いや絶対これから槙野は俺と遊ぶ時間が減るよな
下手したら無くなるよな
彼女のほうが大事だもんな
……チクショウ!!
あーあ!
俺も彼女つくろうかなぁ!
できるかぁ!
好きな子なんていないんだよ俺は!
告白されてもOKする自信ないよ俺は!
だって恋愛興味ないもんな、俺!
万が一にもされないだろうけどね!
明日からボッチじゃねえか、どうすればいいんだクソッ!

3/11/2025, 11:32:10 AM