海老body

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がた…がたっ…
涼しい風が頬を撫でる。
眠ってしまったようだ。傾けすぎたのか、首が変な痛みを訴えている。首に手を当てながら、乗り過ごしていないだろうかと車窓を見た。車窓から見える景色は真っ暗で、車内の灯りが僅かばかり照らすのみであった。
ふと、車内を見渡すと私以外誰も乗っていない。相当外れの方まで乗り過ごしてしまったのだろうか。せめて、場所の確認をと思い、車窓に顔を近づけ、じっと見つめる。やはり、暗い。車内の灯りがあったとて、すぐ足元の長く伸びた雑草しか見えなかった。
とにかく、降りよう。次の駅で引き返せばいい。
しかし、待てども待てどもアナウンスは流れない。ただ、時間だけが過ぎていく。
がた…がたっ…
今日の振り返りをして時間を潰す。朝から会社に行き、営業先に出向き、その付近でお昼を食べ、
ああ、そのまま電車にのり帰路につこうと……

私は、昼に電車に乗った。
なぜこんなに暗い?人がいない?
ここはどこだ?
私は、どこに向かっている?

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『蛯原の帰還』

7/4/2023, 5:30:09 AM