寒くて、心細くて、声を出せずに震えていた。
周りに生き物の気配は感じなかった。
ふわふわの柔らかな何かが体を包んだ感覚と優しい音がした。なんだろう、わからないけど、なぜだか怖くはないなぁ。
「─────?」
何を意味するのかは分からないけれど、音、声がする方に顔を向ける。うーん、よく見えないや。
口を開くとピャーと、か細い声が漏れた。
プニプニしたものが開いた口に入れられる。なんだろう、これ。……あ、甘い。もっとちょうだい、もっと飲みたい。なんだか、ぽかぽかしてきた。眠たいな……。
よく見えない目を開けると、甘いのはなかったけど、お腹の辺りがあったかかった。
優しい声がずっとしていたから、すごく安心した。
ここは、あったかいな。ずっといたいな。
ふふ、喉から変な音がしてきた。
ゴーロゴーロ、グールグール。なんだか落ち着く。
「もしもし、どうしたの?母さん今から夕飯の買い物に行くところよ。……え!?子猫を拾った!?
……どうしようって、あなたねぇ……もうー、今どこにいるの?今から迎えに行くわ。獣医さんのところに行きましょう。……わかった、すぐに向かう。父さんには連絡しておくから。……うん、あったかくしてなさいよ。」
〜子猫〜
11/15/2022, 11:40:31 AM