「たっだいまー!」
玄関を開けるとAmazonと書かれたダンボールが、所狭しと積み上がっている。
「その内お前らも開封してやるからな」
そんな心にもない約束をして、パンパンッとダンボールを叩く、それだけで気分が良い。
バックを玄関に投げ捨てると、そのまま台所へと向かう。
棚を眺めてみると、そこには様々なカップラーメンが並べられている。
何にしようかなっと考えてはみるが、やはりここはカップヌードルしか勝たん。
仕事終わった後はラーメンのスープまで飲みたいのだ。
ペヤングくん、ごめんよ。
「チャララララララ〜♪」
曲名も知らない音楽を口ずさみながらお湯を注ぐ。
ストップウォッチをピッと押したら、始まりのゴングだ。
仕事着を脱ぎ捨てたら急いでシャワーを浴びる。
ピピピピッとタイマーが鳴る頃に、シャワーを終えて台所に辿り着いて鼻を鳴らす。
「ふふんっ」
無駄に洗練された無駄のない動きで、無駄に勝ち誇る私。
パンツ一丁に肩に掛けたバスタオル姿、体が熱いのはシャワーの所為か仕事終わりの所為か、私は絶賛クールダウン中なのだ。
散らかったテーブルの上に、開かれたノートパソコンがある。
こいつをパタンッと閉じればテーブルの完成だ。
熱々のカップヌードルと、冷蔵庫から取り出したビールをノートパソコンの上に置く。
雑誌の下からリモコンを取り出すとエアコンを付ける。
若干寒めの二十二度にするのがポイントだ。
リモコンを元の位置に戻すと、その上に雑誌も戻す。
これぞ定位置。
両の手のひらをパンッと合わせる。
「いただきまーす」
熱々のカップヌードルをフーッと息を吹きかけて、一気に頬張る。
熱い。
スマホを開くと母からラインだ。
“野菜送ろうか?”
カップヌードルの肉を箸で摘むと、パクッと口に放り込む。
“大豆肉食べてるから大丈夫”
軽く返事を返して、肩に掛けたバスタオルで汗を拭くと、もう一口啜った。
遂にここで本命の登場、ビールをプシュッと開けてゴクゴクと喉に流し込む。
「きっっっくぅぅ」
床にゴロンと仰向けに転がり、私は天井を見ながら言った
「あ〜……ここにあったわ」
『楽園』
4/30/2024, 8:54:44 PM