失われた響き…
「あーーーーー。」
「ふむ…声が響きずらいのぉ。」
「洲都や、おい洲都やーー!」
「……寝ておるのか…、」
「ここ最近元気がないと思うたら、このお部屋の有り様じゃ…。」
「洲都やぁ、
親からよく言われておったじゃろう?」
「片付けたら、良いものが入ってくる、と。」
「音が響くほど綺麗になさい……と、」
「…今のお部屋は、やんちゃしとるよのぉ、」
「しかたがない、わしが、代わりに片付けようか。」
「…冗談じゃ。」
「わしに、ものを動かす力はもとより備わっておらん。」
「 …… 」
「……そうよのぉ、わしにできることといえば、ここに残ることくらいかのぉ。」
「なぁに、わしの、呼び寄せる力は変わらんよ。」
「いつかでええ。
元気になったその日にまた、大きな声を響かせておくれや。」
「わしは、部屋が汚かろうと出て行く気はないから、安心して眠れ。」
「入ってくるものは、おらぬとも、
出て行くものもおらんのじゃからな。」
11/30/2025, 8:18:39 AM