Morita

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私にとって幸せは、半月型のお好み焼き。

カリッカリに焼けた熱々のそれを、フライパンの上でヘラでふたつに切り分ける。

お好み焼き県の出身ではないけれど、天ぷら粉と千切りキャベツさえあればできるので、一人暮らしの時はよく作って食べていた。私のおはこ。

「できたよー」
「よっしゃ」

二つのお皿に、半月型のお好み焼きを盛り付ける。

ひとりの時は丸いまま食べるのが当たり前だったけど、その半月を見て思い出したのだ。実家でもこうして半月にして、私と兄とで分けて食べていたこと。

そして今は、彼氏とこうして分け合っている。
そうか。これが家族なんだ。

「はふはふ」
「ふはふは」
「うまっ」
「うまいね」
「ふふふ」

お好み焼きを頬張る彼氏の、正確には明日から夫になる人の横顔を見て、気持ちが和らいだ。

心の中にはまだ一抹の迷いがあった。結婚は怖いものだと思っていた。赤の他人と一緒に暮らすなんて未知だった。

私たちなら、上手くやっていけるのかな。
明日は満月が昇るってさ。


【満月をはんぶんこ(お題:幸せとは)】

1/4/2024, 1:12:47 PM