NoName

Open App

あの人が好きだった…。

私を見て欲しくて
私の名前をよんでほしくて
彼を知りたくて、
私をしってほしくて いろんな話をした。


明るく気さくで優しい彼は誰に対しても平等 そんな彼は大勢の人達に囲まれる人気者だった。

常に人に囲まれるような彼の目に留まるよう 無造作に伸びた髪を切り毎日時間をかけヘアアイロンで整え、苦手な化粧を雑誌で勉強した。同じファッション雑誌に載っていたトレンドの服をチョイスしてみたり、ハンカチやティッシュ小物にも気を使うようにした。

彼とあるイベントのペアが同じになった際、
『最近おしゃれじゃん。似合ってるよ、』
と褒めてもらえた。嬉しかったがその気持ちを上手く言葉に出来ずに会話が弾むことはなかった。折角のチャンスをものに出来なかった歯痒さから私は内向的な自分の性格を恨んだ。

人と関わるのが昔から苦手で、常に受け身で流されてきた。今更、〔親しくなりたい人との関係の構築〕なんてどうやってするのかわからない。でも、彼ともっと関わりたい。その気持ちは増すばかり。

ネットや本を使って参考にしようと色々調べていくうちに知識だけは増えた。彼や彼以外の人との挨拶を頑張れたが、コミュニケーションの実践が難しかった。

相手と目を合わせ、聞き手に回って、おうむ返しをして相槌を打つ。笑顔を作る。俯かない。
  少しづづほんの少しづつ
          変化は着実に。

彼が私を呼んでくれる事が多くなった。
業務に関する事や社交辞令ということには気づいていたが本当に嬉しかった。『明るくなったね。話しやすい』と言われれば、私の胸は高鳴り一層努力を続けようと思えた。

彼を好きになってから季節が一周する頃になると何かと彼と組まされる事が多くなり、必然と彼と話す事が多くなった。しかし、私には人に話せるような趣味も得意なこともなかった。そこで私は内面を磨き、いろんなことに挑戦して経験を身に付けた。

努力を惜しまなずに苦手な事でも一生懸命に取り組んだ
あんなに一途に人を想うこと
私は一年と数ヶ月の間に全力を尽くした。

        本気で恋をした

9/13/2024, 3:29:06 AM