好きな人が転校する。
そう知ったのは昨日で、
転校するのは、今日。
学校へ行くのも嫌になったが、連絡先も持っていないので、仕方が無く行くことにした。
一日中上の空で、窓辺の僕の席には、柑橘色の斜陽が差していた。
いつもよりもバッグが重かった。
足音がしてつい視線を向ける。
話したことのない同級生。
つい下を向いて、そして唇を噛み締めた。
誰もいない下駄箱で靴を履き替える。
地面とにらめっこしながら歩き始め、
門へ視線を向ける。
なんと、僕の好きな人がいたのだ。
胸が弾ける思いだった。
僕に気がつくと、小走りでやって来た。
「これ、、」
そう言うと彼女は手を差し出してきた。
手には一輪の白い勿忘草と、羅列した数字の書かれた紙切れ。
僕は、じわじわと顔に血液が集まっていくのを感じていた。
2/2/2023, 10:47:17 AM