美崎

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___その刹那、鮮血が女の視界を埋め尽くす。

鼻が捻じ曲がりそうな生臭さと、鉄の匂い。生温い感触が頬を伝い、口の中に入り込む。

震える手を、女は何かを確認するように自身の胸元に寄せた。命の源はまだ動いている。その血の出どころは、彼女ではないらしい。死に対する恐怖と安堵が、同時に襲った。


___私はまだ、生きている。


だが、これは私の血ではない。
傷もないようだ。
ではこれは、一体誰の血になるのだろう。

視界を潰した血を拭い、静かに目を開ける。暗闇に染まった室内は、女以外の存在を隠しているようだった。

女はその場に居るであろう仲間の名を呼ぼうとして、やめた。ここまで暗ければ、まだ敵が潜伏しているのかもわからない。相手ももしかしたら、我々の出方を探っているのかも…

記憶を頼りに壁際を探って、灯りを付けるスイッチを探す。だが、なかなか見つからない。時間だけが経過していくこの部屋で、女は少しずつ焦り始めた。


4/29/2026, 10:04:16 AM