かのこ

Open App

『光と闇の狭間で』2023.12.02


 この世のありとあらゆるものに表裏があるように、人間にも表と裏がある。
 光の部分と闇の部分だ。
 誰にも愛想よく人懐っこく接している友人なんて、その裏の部分はとても繊細だ。不甲斐なさを感じたときに憂鬱になる。
 なんでも器用にこなしてたいていのことはなんでもできる友人。でも、裏ではそれに見合った努力をしている。
 友人はそういう男である。
 目の前で酒を飲みながら、ぐだぐだとくだを巻く友人。あれがダメだった、もう少し出来たはずだ。と友人は呂律の回っていない口で愚痴をこぼす。
 酒がそこまで強くない、というのも彼のもう一つの顔だ。
 でも、愚痴をこぼしながらも、次はああしたいこうしたいと自分に言いきかえている。
 これが彼の中間。そう、光の闇の狭間。
 友人は光と闇の切り分けが上手い。落ち込むときはとことん落ち込んで、そのあとはがんばって気分を上げようとする。多少、わざとらしくても、それが彼のやり方なのだ。
 これはここだけの話だが、自分は彼の浮上途中の姿が好きだ。
 光にも闇にも属さないその狭間が、彼らしくていい。

12/2/2023, 1:37:00 PM