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秋晴れ
十月の半ばの晴れの日、
黄色くなった銀杏の下を歩きながら、これ以上ないくらいに秋を感じてる。

時折出てくる記憶の断片。
広い池の水面に、突然浮かぶ泡のよう。
大気に触れて泡は割れ、水紋になって広がってく。

今そこで、何処かで誰かの出した泡が割れた。
また別の泡が割れた。パチン。
パチン、パチンパチンパチン…

広がっては交わり、さらに広がる水の波紋。
泡は破れ、中の思いは解き放たれ、
ひとつ残らず上っていく。
少し前までそれらは上がらず、
いつまでも下に留まり続けてた。
大人の胸くらいの高さで。
なので小さい人は皆、必ず一度は溺れてた。
そうしてちゃんと馴れてった。
それなりに。

でも今はちがう。
弾けた泡は上がってく。
次々上がってひとつ残らず消えて行く
秋晴れの空へ。



10/19/2023, 4:30:07 AM