川柳えむ

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 あなたに憧れていた。みんなの中心で輝く、まるで太陽のようなあなたに。
 あなたは所謂陽キャ。明るくて面白い、それでいて誰にでも親切。対して私は陰キャ。クラスの隅にいるような、小さく縮こまって、周りに怯えている人間だ。
 あなたは太陽だから、遠くから見ているだけでいい。それだけで良かった。

 何を間違えてしまったのか。
 たまたま二人きりになった教室。その時も親切にしてもらえた私は、思わず言ってしまったんだ。「好き」と。
 元から手に入るなんて思っていなかった。太陽は空高く、みんなを平等に照らしているものだから。
 あなたはにっこりと笑った。

 忘れていた。
 太陽に近付き過ぎてはいけない、蝋で固めた翼が溶けて落ちてしまうから。そんな神話があったということ。
 憧れは憧れのままでいた方がいいこともあるって、今までの経験からも知っていたのに。


『太陽のような』

2/23/2024, 3:05:44 AM