【キャンドル】
形容し難いほどに綺麗な色がありました
その色は誰に見つけられることもなく
ただ人の合間を漂っているだけでした
ところがある日
その色を見つけた女の子がおりました
その女の子も色と一緒になって
人の隙間で色が綺麗なんだとお話をしました
けれども人はそんな女の子を訝し気に眺めるだけ
ついには女の子を変人として
見てはいけないものにしてしまいました
女の子は思ったよりも悲しくありません
ずっとそばに色が居てくれるからです
それでも人にこの綺麗な色を見つけてもらいたくて
望遠鏡から覗いてみたり
思いつく呪文を唱えてみたりしました
そんなことをしていると
空から白い綿菓子が降ってまいりました
女の子と色はいつのまにかそのしんしんと
降り積もる白い雲に包まれてしまいました
そこで女の子は気が付きます
色が今までとは違うように光っていることに
慌てて綿菓子をかき集めて色を閉じ込めると
仄かに淡く輝きます
白い帽子を頭に被った人が集まり
その光はなんだと女の子を問い詰めました
今まで見ることが出来なかったはずの人が
色を認識できるようになっていました
綿菓子の中で光る色は
女の子に暴力が振られるのをみて怒り出します
綿菓子の頭からゆらゆらと感情を露わにして
女の子を痛めつける手を焼き尽くします
辺り一面にその色の存在感を増して女の子を守ります
やがて女の子に近づく人は居なくなりました
今までの日常が帰ってきたのです
女の子は今の色の姿を幸せの形だと思いました
それから色が溶けてしまわないように
大事に大事に2人だけで生活をしましたとさ
おしまい
2024-11-19
11/19/2024, 1:58:05 PM