紅黒零茜

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「海の底」

暗くて、冷たくて、静寂に包まれた海の底。

この静けさに安らぎを感じはじめたのはいつの事だっただろうか?
……確か、かけられる感謝や肯定の言葉全てが痛く感じるようになった頃と同じくらいだったっけ……
じゃあ、あの雑音から逃げ出して、自ら意識を沈めたのはいつだっただろうか?
……いや、違う。私が自分の意思で逃げたんじゃない。
だって私は、その言葉たちとその想いが……痛いなりに受け止めようと頑張ったはずだ。
この痛みは、私の心が感情を忘れていない証だから、と。
なら、なぜ私は今この場所にいるの?
何も感じなくていい、揺蕩うだけでいいこの場所に

「キミが、もう壊れてしまいそうだったから」
「キミを壊すのはボクがいい」
「だから、キミが望んだようにしたんだよ」

静寂と深淵と空虚に満ちたこの海の底に、送ってあげたんだからさ?

1/20/2024, 12:56:31 PM